ライカ使いの数だけ、個体が存在すると思う。それは使ううちに使用者の癖や、環境が染み込むからだろう。大量生産された工業製品が主流の中で、そのようなカメラも珍しい。
ここまでくれば立派な信者だが、中古カメラ屋で、レンズなしのM型がずらりと並んでいる姿に萌える。あの景色はなんとも言えない気持ちになる。おそらく多くのユーザーに言えることだが、普段レンズを外すことはほとんどない。だからボディキャップを付けたボディというのは、買った時にしか(あるいは売るために手放す時にしか)見れない姿であるからだろう。仕事着姿しか見たことのない同僚の、私服姿を見てしまった時のような新鮮さがある。
信者は誰でも自分のライカを自分色にしようとする。
カスタマイズのよくある例として、ストラップに凝る、フィルターに凝る、シャッターボタンをつける、ボディのレザーを張り替える、ホットシューカバーを変える、ライカロゴの赤丸を潰す(あるいは赤丸をつける)、角を磨いてペイントを落とし真鍮を出す。ということが上げられる。
このようなカスタマイズは簡単に、しかも手軽に自分色を出すことができる。そして愛着も湧くだろう。
だけど、僕が一番かっこいいと思うのは、何もしない、そして経年劣化によりエイジングされた個体だ。
もともと頑丈で、手作業で丁寧に作られているから、ちょっとやそっと使ったくらいでエイジングは進まない。しかし、一台のボディと一台のレンズだけをしつこく、毎日使っていると1,2年くらいで変化してくる。ペイント系は特に変化しやすいが、今回は僕が使用している変化しにくい塗装素材のM10-Dを例に、エイジングを促進する裏技的な方法を紹介する。
良い子は真似しないで頂きたいような、少し粗い技もあるのでやるときは自己責任でお願いします。
エイジングを促進するのにはまずは毎日使うことだろう。どこにでも持ち歩いて毎日使う。だけど、エイジングすることが目的になってはいけない。あくまでも写真行為が主体で、そこにエイジングが伴うことが本来の撮影者の姿だと思う。
上の写真にわかるように、僕の個体は何もカスタムパーツはつけていない。アルティザンのレザーストラップ。これは以前のフィルムボディM-Pからずっと使っているから9年目くらいになる。柔らかくしなやかだけど丈夫でまったく切れる様子もない。
ケースも付けない。持ち歩く時は手に持つか、バッグに入れるときはそのまま放り込んでいる。大切なんだけど、宝石や時計のように丁寧には扱わない。できる限り道具として、写真を撮るために使う。すると自然な傷がつく。
Tokimaru Core Membership Required
You must be a Tokimaru Core member to access this content.
今すぐ参加