睡眠の質を上げる方法:クロノタイプ診断と睡眠不足がもたらすこと

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睡眠の質を上げる方法:クロノタイプ診断と睡眠不足がもたらすこと

ヨガを行うようになって早起きになった。アシュタンガヨガは毎朝練習するため、その起床時間に合わせて、就寝時間を決めて、スケジュールに織り込んで生活を始めてから10ヶ月ほどが経つ。5時半には起きるように設定しているけど、前日のスケジュールや睡眠の質によっては6時過ぎまで寝てしまうこともある。特に最近は暑いので、エアコンを付けていてもどこかスッキリしない。そこで睡眠について改めて考えることになった。

睡眠の質が日中のパフォーマンスにどのように影響するかについては多くの本で書かれている。この記事では睡眠の研究を参照しつつ、最近行ったクロノタイプ診断と、私が実践している睡眠の質を上げる方法を書いてみたいと思う。

睡眠不足の影響

睡眠時間が不足すると、日中に様々な影響が出る。単純に「眠い」と感じてあくびが出るわけだが、それが表すことは、まず身体的には免疫力の低下や代謝の乱れ、心疾患や糖尿病など病気のリスクの増加である。そして精神面では、ストレスレベルの上昇、感情が不安定になり、集中力が低下する。これは誰にでも思い当たるところがあると思う。寝ていないと、イライラしたり、些細なことで不安になったりする。

睡眠不足の効果は飲酒と同等である

睡眠不足が続くと、飲酒をしているのと同じ状態になるという研究がある。酒を飲む人なら、飲酒後の自分の役立たず具合がわかると思う。では酔っ払って気持ちよくなりたければ、睡眠を削ればいいのかというとそれもどうやら違う。睡眠不足ではアルコールによる浮遊感のような快楽は得られず、ただ心身のパフォーマンスが低下するだけ。酒を飲むよりも嫌な感じがする。だったら酒を飲んで快楽も得ながら、心身のパフォーマンスを下げたほうがいい気がする。(そういう話しではない!)

代表的な研究はDawson, D. & Reid, K.により1997年にNatureに発表された「睡眠不足の効果はアルコール摂取と同等である」というものである。有名な論文だ。

この研究では、被験者がどれだけの睡眠不足で飲酒状態に相当するパフォーマンス低下を示すかを調べている。

実験方法としては、健康な被験者に、一晩中起きているよう指示をして、被験者は24時間眠らないようにする。各時間ごとに認知機能や反応速度、運動能力などのテストを実施して、結果をアルコール摂取時のパフォーマンスと比較するというもの。

測定項目としては、記憶力や注意力、反応速度や、手先の器用さや協調性に関するテストが行われた。

結果は、17時間の睡眠不足で被験者は0.05%の血中アルコール濃度(BAC)と同等のパフォーマンス低下を示した。これは多くの国で飲酒運転とされる基準に相当する。さらに24時間寝ないと、0.10%のBACと同等のパフォーマンス低下となり、これはほとんどの国で法的に酩酊状態とされるレベルになる。

なぜ睡眠不足が飲酒と同等の影響を与えるのかについては、大脳皮質の機能低下によるもの。アルコールを飲んだ時も、睡眠不足の時も同様に大脳の同じ部分の機能が低下することが分っている。これにより判断力や反応速度が著しく悪化する。また長時間の睡眠不足は、事故やミスのリスクを大幅に増加させる。これは特に運転や機械操作などの作業で顕著に現れるようだ。

クロノタイプ診断と睡眠の質向上

睡眠不足が飲酒と同等の影響があり、いかに眠ることが大事か分ったところで、睡眠の質を上げる方法を考えていきたい。

その前に、自分自身の体内時計はどのような性質があるか調べたことがあるだろうか?人間はそれぞれバイオリズムが異なっていて、人によって最適な活動時間帯が異なる。その性質をわかりやすく動物に例えたものがクロノタイプ診断で、いくつかの質問に答えると、自分のタイプがわかる。

数年前に話題になった本「シリコンバレー式超ライフハック」を読んでいて、この診断に思い当たり、自分のタイプを調べてみた。僕はオオカミタイプで、午後から夜にかけて最も生産性が高く、朝は苦手なタイプだった。クリエイターに多いタイプらしい。考えてみれば過去に音楽にのめり込んで練習や作曲をしていた時も夜だったし、写真や動画編集やWebサイト制作も夕方から始めて気づけば夜中になることが多い。

ヨガは朝行うから、今は朝のリズムになっているが、何も予定や仕事が無い日など、8時ごろにのろのろと起きて9時頃から練習し始める時のほうが集中できている気もする。

他にも、ライオン、くま、イルカ、というタイプがあるので、自分のタイプを知らない人は一度調べてみてはいかがだろうか。この活動のリズムはホルモンの分泌や、体温や睡眠、覚醒のサイクルに影響を与えるとされる。

睡眠の質を上げようと色々試しているけど、いまいち効果が上がらない、という人はそもそもご自身のクロノタイプとは異なる時間に寝ていたり、活動のピークを持ってきたりしているかもしれない。自分もオオカミタイプという結果を確認し、学校や会社の時間にはそもそもフィットしないことを知って、妙に納得した。

自分のクロノタイプを知ることで、仕事や勉強時間、運動、食事、睡眠のタイミングをより自分の身体に合ったかたちで最適化できる。

睡眠の質を上げる工夫

それでは実際に僕が日頃行っている睡眠の質を上げるための工夫をいくつか紹介する。意識しているポイントは大きく分けて、環境、習慣、食事、運動の4つだ。

環境を整える

よく眠るためには、良い環境が必要だ。睡眠に良い環境づくりのために気をつけていることは、室温、光と音、寝具の4つである。

まず室温を心地よい温度に保つ。具体的に何度とまでは決めていないけど、夏であればエアコンを使い、冬場は暖房を使う。暖房は乾燥するので、あまり好きではない。冬場はかけ布団を調節すればだいたいエアコン無しで乗り切れる。日本の現在の夏はエアコン無しでは厳しいので冷房を使うが、冷えすぎないように注意している。

眠りの妨げになるのが、光と音だ。人間は危機回避能力を発達させたおかげで光と音は就寝時も敏感に感じるようになっている。もちろんこれは夜の地震や火災の時には役に立つ。完全に毎回耳栓で遮音してしまうと、それが当たり前になり耳栓を付けた状態でしか眠れなくなるので、近くで誰か騒いでいるとか、普段の家ではなくキャンプやドミトリー等のような場所で寝る場合に限り耳栓を使うようにしている。あとはなるべく防音性の高い部屋を選ぶようにしている。光に関しては、遮光カーテンはマストで、日中は明るい光を取り入れながら、寝る時は完全遮光してなるべく暗くしている。そのほうがよく眠れる。

寝具に関して気をつけていることは、柔らかすぎないものを選ぶということだけ。長らくベッド派だったが、現在のホワイトボックスに越してからはマットレスを試している。これも分厚いタイプではなく、薄めのものを選んでいる。枕は様々試して、ブレインスリープのような新素材も使用したが、いまいち効果を得られなかったので、今はよくあるごく普通の化繊のタイプのもの。枕はおそらく素材よりも、頭や首の高さに合っているかの方が大事だと思う。血流の関係で、頭の位置を胸よりも少し高くした方が睡眠の質は上がるとされている。

良い睡眠習慣の確立

習慣面で言うと、まず定期的な就寝と起床のサイクルを設定している。iPhoneでは時計アプリでスリープ設定が可能で、睡眠したい時間を入れることにより、就寝時間と起床時間をその幅で自由にスライドして設定できる。自分にとって最適な睡眠時間は、色々試して見つけるしかないが、先に記載したクロノタイプ診断もその判断に役に立つ。iPhoneでスリープ設定を行うと、自動的に睡眠設定時間の1時間前には、スリープモードになる。

スマホでスリープ設定をしても、なかなか予定の時間には寝られないもので、カレンダーに睡眠の時間を繰り返しで入れるようにした。時々、そのサイクルで寝られているかを確認し、寝られていなかったり、睡眠の質が悪いと感じる時には、就寝時間や起床時間をズラしながら、色々なパターンを試していった。

就寝前に自分なりのリラックスタイムを持つことも効果があると思う。ヨガをベースにした簡単なストレッチと3~5分ほどの短い瞑想を行うようにしている。読みたい本がある時は読書も行うが、内容が面白いと逆に目が冴えてしまうので、眠くなってしまうような本を選びたい。バルザックやドストエフスキーのような19世紀の群像劇モノの古典はそれに適しているかもしれない。最近はストレッチしながらPodcastを聴くのも好み。

食事と運動

食事で気をつけていることは主に2つで、夜に脂っこいものを避けることと、眠る3時間前には食事を終えるようにすること。あとは、寝る前に水分を取りすぎないことも意識している。今ではほとんどやらなくなったものの、夜に焼き肉など食べてしまった日にはだいたい睡眠の質が悪い。飲んだ後のラーメンというのも危険だが、そもそもそういう時は睡眠の質どうこうの問題では無い気がする。

眠る3時間前に食事を終わらせておくと、胃腸が休まった状態でスムースに入眠できる。なんとなく、寝る前はあまり食べないほうが良い、ということは分っていても、2時間、3時間と空けて確かめることは以前はしなかった。自分の場合はある程度空腹時のほうが眠りやすく、2~3時間前が入眠も翌日の目覚めもいい。

よく眠るには日中によく身体を動かすこと。これも基本だが、気をつけていることは18時以降に心拍数が上がるような強度のある運動をしないこと。例えばランニングであれば17時くらいまでに終わらせるようにしている。18時を過ぎて激しい運動をすると、運動で上がった体温が下がりにくくなるために眠りに付きにくくなると言われている。

運動の側面で言うと、ヨガを実践し始めてから明らかに睡眠の質は上がった。それは朝しっかりと汗をかくくらい身体を動かしていることと、同時に瞑想的なリラクゼーション効果が出ているからだと思う。特にアシュタンガヨガ等の動き続けるヨガは、運動量が多いので、良い睡眠に役立つのかもしれない。

睡眠の質を測定する方法

今はオーラリングやアップルウォッチ等のウェアラブルデバイスを使えば、睡眠の質を測定できる。このようなデバイスは睡眠データの記録と収集をしながら、アルゴリズムによってフィードバックを行う。これからはAI技術がこれに加わるので、睡眠を含めた人体データを複合的に解析して、病気の発症を予測したり、事前にアラートを出したりできるようになるとされている。

個人的にはモノを増やしたくないのと、身体に常時何かを身に着けるのが嫌いなので、これらの測定器具は何も使用していない。

使っているのはこれまたiPhoneの純正アプリ「ヘルス」くらい。このヘルスアプリはなかなか優秀で、アップルウォッチ等のウェアラブルセンサーが付いたデバイスがあれば、より多くのデータを収集できるのだが、アップルウォッチや他のアプリをインストールしなくても、内蔵センサーと時計アプリで睡眠時間のログは取れる。週間や月間表示で、就寝時間と起床時間のばらつきを見たり、トータルの睡眠時間の長さが極端に変化していないか、くらいをざっと見る。なんか疲れているな、という時は睡眠時間を示すバーが短くなっていたりするので、気づいたら寝ることに意識を向けるということを行う。これだけでも睡眠の質は随分改善できる。

あとは、アナログ(ここではセンサーやトラッカーに頼らずに自分自身で何かに記録すること)で睡眠メモのようなものをつける。これは普段書いているノートや、スマホのメモ帳、何でもいい。睡眠が足りていなかったら「眠い、寝れてない」というように簡単にメモしておく。時々メモを見返して、色々書かれている中にこういうメモが2,3日続いているのを見つけたら、正しく戻そうという意識で生活する。意識的に睡眠を取るようにする。例えば、いつもは食事してから映画を見たりするが、今日はそれをスキップして、そのまま寝よう、など。ウェアラブルデバイスのセンサーでも、自分のアナログメモでも、とにかく変化に気づくという点では同じで、それが大事なのだと思う。気づいたら変える行動に移す。それが再び良い睡眠をもたらし、結果的に生活のパフォーマンスを上げることになる。

睡眠の質を上げるツール

睡眠の質を上げるためのツールやサービスを紹介します。ここで紹介するサイトはプロモーションを含んでいます。

GOKUMIN

Amazonや楽天市場で売れに売れまくっている寝具ブランド。マットレスや枕を選ぶ際に、一度は見かけたことがあるのではないだろうか。「極上の眠りの後に訪れる健やかで輝かしい”目覚め”」をユーザーに届けることをコンセプトにしている。マットレスと枕だけでなく、カバーやリビング用品、ベッドフレーム等も多角的に展開しているので、目的の寝具を見つけやすい。

スリープエンリッチ

睡眠学と人間工学の専門家達との共同開発で、様々な睡眠の悩みに対して「寝心地 ×機能性」の両面から満足できる寝具を取り扱うブランド。特許取得の糸状の樹脂を立体的に編み込むことで枕全体がバネのようになって頭と首にフィットし、枕との設置面積を増やし圧力を分散する事で首・肩への負担を軽減する「ネックフリーピロー」。身体への負担軽減サポートするファイバー素材のマットレス「スリープエンリッチ ノアール」を主力に展開している。

まとめ

睡眠について朝のラジオで話して、それから言いたいことを膨らませてみたらちょっと長い話しになってしまった。睡眠の工夫を様々上げてきたけど、寝られない時は寝られないし、眠れる時は眠れる。あまり神経質にならずに、おおらかに生活するのがいいのかもしれない。もしも、あまりに寝られなくて体調の不具合を誘発しているとしたら、それは睡眠の工夫をするより専門医の診断を受けたほうが早いこともある。この記事は、そこまで深刻な睡眠障害になっていない人向けで、様々な睡眠スタイルがある中で、自分の睡眠を改めて見直すきっかけにでもなれば幸いです。

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